ブラジル南部のリオ・グランヂ・ド・スル生まれのシンガー・ソングライターでピアニスト、エルメート・パスコアルとともに活動するなど類稀なる才能を発揮するも、1989 年に若くして癌
でこの世を去ることになってしまった夭逝の天才、アナ・マゾッチ。そのキャリアのなかで残した数少ない作品のひとつにして、ブラジリアン・レアグルーヴの最高峰として知られるのが本作
『Ninguem Vai Me Segurar (1974)』である。
公私ともにパートナーであったホミド・サントスがプロデュースとドラムを担当した以外は、アレンジ/キーボードがジョゼ・ホベルト・ベルトラミ、ベースにアレックス・マリェイロス、パーカッションにアリオヴァルド・コンテスチーニと、ママォン以外は当時のアジムスの面々をそのまま起用。アジムスの伝説的な 1ST アルバムとほぼ同時期にレコーディングされたこともあり、本作は長らくアジムス諸作品と並ぶブラジリアン・レアグルーヴの名作として多くの音楽ファンに愛されてきた。
7拍子からスタートするキラーなエレピ・サンバジャズ "Agora Ou Nunca Mais" 、スペーシーなミッド・ジャズファンク "Roda Mundo"、ベースとドラム、クラビネットの強烈なアンサンブルからスタートする "Eu Sou Mais Eu"...。ドラム、パーカッション、ベース、エレピという極めてシンプルな編成でありながら、サンバという共通言語を背景にそれぞれの個性豊かなニュアンスが生み出す稀有なグルーヴは、まさにワン・アンド・オンリー。ブラジリアン・フュージョン、スペーシー・ジャズ・ファンクの最高峰にして、サンプリング・ソースの宝庫、グルーヴ・ミュージアムであるアジムスの魅力を凝縮したものと言えるだろう。そして極めつけとなるのが、ロバータ・フラックの歌唱でも有名な "Feel Like Making Love" のカバーである。ベルトラミらしいシンセサイザーとマゾッチの類稀なる歌声が得も言われるメロウネスを醸し出す、このレアグルーヴ・アンセムの収録が、本作を名作たらしめていると言えるだろう。 ... 詳細
ブラジル南部のリオ・グランヂ・ド・スル生まれのシンガー・ソングライターでピアニスト、エルメート・パスコアルとともに活動するなど類稀なる才能を発揮するも、1989 年に若くして癌でこの世を去ることになってしまった夭逝の天才、アナ・マゾッチ。そのキャリアのなかで残した数少ない作品のひとつにして、ブラジリアン・レアグルーヴの最高峰として知られる『Ninguem Vai Me Segurar (1974)』に続き発表されたのが『Ana Mazzotti (1977)』である。
新曲は "Êta, Samba Bom" のみで、残りは1974年作のマスターテープを一部オーバーダブするという極めて特殊な方法でレコーディングされた本作。前作に続きアジムスからジョゼ・ホベルト・ベルトラミ(キーボード)、アレックス・マリェイロス(ベース/ギター)が参加したのに加え、エドゥアルド・アサドによるゴージャスなホーン・セクションを補完。そして何よりもヴォーカルをより徹底的に再録音したのだという。"Agora Ou Nunca Mais" や "Eu Sou Mais Eu" はさらにパワフルかつグルーヴィーに、また "Cordão" や "Bairro Negro" といった曲では同時期のエリス・レジーナやイヴァン・リンスらを彷彿とさせる鬼気迫る歌声に圧倒される。オリジナルはアジムス関連作ということもあり中古市場でも非常に人気が高く、入手は容易でないため、今回の世界初リイシューは嬉しい限り。『Ninguem Vai Me Segurar (1974)』とあわせて、70年代 MPB の名作として聴いていただきたい作品である。 ... 詳細